• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2016年7月11日 予約リードタイムの長期化

    先日、あるクライアント旅館で、予約課の皆さんから「来年4月以降の予約リスクエストも多くいただいているのですが、他の旅館さんはどうですか」という質問をいただきました。この旅館は、インバウンド絶好調のエリアにあり、細やかなおもてなしが外国人観光客にも評価され、近年急激にインバウンド比率を上げているところです。

    日本人の予約が入ってから実際に宿泊するまでの日数「リードタイム」は、1ヶ月前程度でしたが、ネットの発達により、どんどん長くなってきています。

    正月やお盆、花火などの特殊な日は、泊まられた当日に、その翌年の予約を入れてお帰りになることもあるので、特殊な繁忙日のリードタイムは長くなりますが、一般的に日本人が来年の予約を国内の宿に入れることは稀です。

    ただし、これが海外旅行などになると、航空機手配やスケジュール調整など、さまざまな要因により、リードタイムが長期になります。これだけ外国人観光客が日本に多く来るようになると、人気エリアの人気宿のリードタイムは必然的に「長く」なってしまいます。

    結果的に、繁忙日(もっというと繁忙月)などは、予約のリードタイムの長い外国人観光客に、先に全ての客室を抑えられ、日本人の受け入れが難しくなるというケースも出ていることでしょう。

    それで、「良し」とする宿はそれで良いでしょうが、冒頭の旅館では、来ていただくお客様を拒むわけではないが、リピーターなどを含む日本人のお客様も大切にしていきたい、という考えがありました。

    そんなときに、存在する「在庫」を全てインターネットにサイトコントローラーなど通じて出してしまうと、結果的に外国人観光客のお客様ばかりになり、日本人のお客様からは、「○○旅館はいつ電話しても満室で、一体いつなら泊まれるんだ」というお叱りを受けてしまいます。

    現実的に、この旅館は年間客室稼働率が90%を超えていますので、そのようなお声をリピーターから頂戴するとのことでした。

    そういった事情もあり次年度からの在庫調整は可能な状況にありますが、今後は細やかな在庫調整をしていこう、という話になりました。

    また、同時に客室をブロックしておきながら売り切れないリアルエージェントも削減しよう、と下期からの在庫減の話も進めていっていただいております。

    マーケットの状況が変わると、手法も変わるのは当たり前ですが、「どういう道」を選んでいくのかは、宿側にイニシアチブがあります。ただ、このインバウンドブームに流されると、ブームが去った後は、強烈に痛いメにあいます。

    売れているときだからこそ、経営が順調な時だからこそ『誰向けの宿になっていくのか』ということを考え、対処法をトライ&エラーで実行していかないと、流れにのまれて終わってしまいます。

    バックナンバー
  • Vol.64 9月1・11日号 V-RESASを活用してのマーケティング
  • Vol.63 2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例
  • Vol.62 2021年5月11・21日合併号 コロナ禍におけるアニバーサリー需要
  • Vol.61 2021年3月11日 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
  • Vol.60 2021年1月11・21日 経済活動にブレーキが掛かる前提での経営
  • Vol.59 2020年11月11日 地域共通クーポン狂騒曲
  • Vol.58 2020年9月11日  Go Toトラベルを前向きにとらえよう
  • Vol.57 2020年7月11日 現実的な新型コロナ対策ステージへの移行
  • Vol.56 2020年5月11・21日 マイカー旅行プラン
  • Vol.55 2020年3月11日 東京五輪対策プラン
  • Vol.54 2020年1月11日 外部評価を宿泊プランに組み込む
  • Vol.53 2019年11月11日 トーマス・クック社、破綻の意味
  • Vol.52 2019年9月11日 広告の注意点
  • Vol.51 2019年7月11日 消費増税・東京五輪に向けて
  • Vol.50 2019年5月11日 外国人観光客に対するマナー啓発
  • Vol.49 2019年3月11日 見直そう、親子旅マーケット
  • Vol.48 2019年1月11日 2019年度GW対策
  • Vol.47 2018年11月11日 体験に勝る解決法なし
  • Vol.46 2018年9月11日 地域の現状のツタエカタ
  • Vol.45 2018年7月11日 キャンセル率の検証
  • Vol.44 2018年4月11日 タブレット対応HPは必須か?
  • Vol.43 2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る
  • Vol.42 2018年1月11日 タリフの更新作業の生産性検証
  • Vol.41 2017年11月11日 予約確認電話の必要性
  • Vol.40 2017年9月11日 旅館の1泊2食は悪なのか?
  • Vol.38 2017年5月11日 歴史のチカラを商品に
  • Vol.37 2017年3月11日 キャンセルポリシーの見直し
  • Vol.36 2017年1月11日 リアルエージェントとの付き合い方
  • Vol.35 2016年11月11日 ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど
  • Vol.34 2016年9月11日 デポジットと事前カード決済
  • Vol.33 2016年7月11日 予約リードタイムの長期化
  • Vol.32 2016年5月11日 他館との連携プラン
  • Vol.31 2016年3月11日 好調時こそ、次を見据えよう
  • Vol.30 2016年1月11日 料理とお酒マリアージュプラン
  • Vol.29 2015年11月11日 人材獲得のために
  • Vol.28 2015年9月11日 旅館の売店の優位性
  • Vol.27 2015年7月11日 調理人の負担が少ない料理プラン
  • Vol.26 2015年5月11日 アドバンスパーチェスプラン
  • Vol.25 2015年3月11日 プラン造成は最大の販売促進
  • Vol.24 2015年1月11日 ベジタリアン料理の可能性
  • Vol.23 2014年11月11日 OTAも選別の時代へ
  • Vol.22 2014年9月11日 USJの成功は魔法ではない
  • Vol.21 2014年6月11日 地域観光資源の効果的な売り方
  • Vol.20 2014年5月11日 宿のインバウンド対策とは?
  • Vol.19 2014年4月11日 業界の流れを活かした施策を
  • Vol.18 2014年3月11日 ネット予約におもてなしの心を
  • Vol.17 2014年2月11日 風習を企画に
  • Vol.16 2014年1月11日 おもてなしは商品である
  • Vol.15 2013年12月11日・21日合併号 真っ当な表示がウリに?
  • Vol.14 2013年11月11日 Webでも団体受注を!
  • Vol.13 2013年10月11日 1人旅プラン、静かに浸透中
  • Vol.12 2013年9月11日 スタンダードプランは大切に
  • Vol.11 2013年8月11日・21日合併号 アクティビティは詳細表記
  • Vol.10 2013年7月11日 宿泊産業もエコの時代へ
  • Vol.09 2013年6月11日 直前予約の締め切り時間
  • Vol.08 2013年5月11日・21日合併号 需要高い「マグロ」プラン
  • Vol.07 2013年4月11日 赤ちゃん連れ旅行に着目
  • Vol.06 2013年3月11日 料理長との会話も商品
  • Vol.05 2013年2月11日 信仰や風習を取り入れる
  • Vol.04 2013年1月11日・21日合併号 “食事制限”も工夫で開拓
  • Vol.03 2012年12月11日・21日合併号 シニア市場の攻略
  • Vol.02 2012年11月11日 量より質のチカラ
  • Vol.01 2012年10月21日 誰もが喜ぶ企画力を