• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2015年11月11日 人材獲得のために

    岐阜県飛騨高山の本陣平野屋さんが「2億円」をかけて社員寮を建設します。2億円というと、旅館が1つ建つような金額ですので、「えっ2億円ですか!?」と度肝をぬかれる方が多いです。

    本陣平野屋さんの業績が好調なことと、大切な経営資源である「人」に投資する。人(従業員)を大切にし、人(従業員)をより集めやすくするという考えでの寮建設ですが、なかなかできることではありません。

    私も最初にこの話を伺ったとき、「ちょっとしたペンションや民宿のスペックよりも良い社員寮ができるのではないか。それよりも、他の投資にまわされた方がよいのではないか」と正直感じました。ただ、お客様に永続的に安定した「おもてなし」を提供するには施設や料理なども大切ですが、やはり最後は「人」ということでの決断だと思われます。全国的にみても、有効求人倍率が上がってきており、人手不足です。どの業界でも「人がいない」と嘆いている様相ですが、これだけ働く環境を自由に選べる状況であると、もはや業種間の争いにも発展します。

    つまり、以前は「A旅館からB旅館に転職したがために、A旅館が人手不足になった」という話が多かったのでしょうが、現在は「A旅館からB社(異業種)に転職したがために、旅館業から人がいなくなった」という話が多いように感じます。
    「感じます」という曖昧な表現になってしまっているのは、退職者の「次の職場」を知ることが難しくなってきているからです。ただ、周りから聞こえてくる話を推測すると「どうも○×企業に就職したらしい」という話は、地方であるほど、後日判明します。

    とすると、旅館業も「他の旅館やホテルなどから転職してくる人」を対象にするという発想と共に、「他の業種から旅館に転職してくる人」もターゲットにしていかないと人材の先細りになってしまいます。

    本陣平野屋さんでは、住環境の整備も1つの武器になるとの考えで、寮を建設されるのでしょう。当然、住環境のみならず「働く環境」も大切ですので、現在それらをまとめたホームページもリニューアルの最中です。

    もう1つの考え方として、「人がいなくとも、お客様に不便を感じさせることなく旅館がまわっていく経営方式」という発想も考えられますが、そうなると、「館内設備をどうするか」という問題に突き当たります。どの方式が正解、ということはなく、各旅館がそれぞれの考えのもとで改善を加えていくことになるのでしょうが、大切なのは「人がいない」とただ言っているのではなく、「だ・か・ら、どうする」という段階に話を進め、具体的な行動に移っていかなければなりません。

    旅館で働く「人」という存在は、ある意味その旅館を特徴づける最大限の「商品」でもあります。「人」にどれだけ投資できるかが今後の旅館経営を左右することになるでしょう。

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