• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2014年9月11日 USJの成功は魔法ではない

    先日、とあるクライアント旅館に某大手旅行会社の方がお見えになり、今後の施策などの説明を受けました。そのなかで印象的だったのが、「今はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)への送客の勢いがすごい」と得意気に話されていたこと。USJといえば、この7月に世界的に人気な「ハリー・ポッター」の新エリアがオープンし、その盛況具合が連日、テレビや新聞で取り上げられています。

    ただし、このハリー・ポッターエリアはUSJの入場券に加え、そのエリアに入る整理券が必要とのこと。当日入場の場合は園内で配布される整理券が必要だが、先着順で数量限定。そのため、旅行でUSJに来たが、お目当てのハリー・ポッターエリアには入場できないというケースも想定されます。

    そんななか、某大手旅行会社はハリー・ポッターエリアに確実に入場できる「確約入場券」付きツアー「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの旅」を発売しています。新エリアへの確約入場券とホテル宿泊がセットになっているもので、発売以来、予想を超えた売り上げを計上しているとのこと。また、JRでも、USJのスタジオパス(1日券)と新エリアへの確約入場券、往復の新幹線指定席などをセットにした「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンスペシャルきっぷ」を発売し、こちらも売上が絶好調とのことです。

    このような状況を受け、「旅行業界、USJの影響もあり活況」などという報道も流れていますが、本質はUSJが活況なだけで、旅行業界の施策がすごいというわけではありません。ゴールデンウイークや盆、正月に宿の部屋を旅行会社が抑え販売していることと何ら変わりないです。

    旅行会社は宿命的に「人気の、人が行きたいと思う場所」に人を運ぶ商売です。しかしながら、もともと人気のある、人が行きたいと思う場所に人を運ぶことだけを考えるのではなく、世間にまだ認知されていないが素晴らしい観光資源を、旅行業界が世間に知らしめていく、という気概がないと、単なる便利屋(今回のケースでは、人気チケットを抑えパッケージで売り捌くだけ)と化してしまいます。「旅行会社はそんなもの」という意見もあるかもしれませんが、これからの時代、それだけしかできない企業の生き残りは難しいでしょう。

    旅行者を受け入れる側から考えると、USJのように「遠くからでも行ってみたい」とお客様に思わせることが必要になります。旅行会社へ送客をお願いする営業努力もありますが、旅行会社の方から「ぜひおたくの宿に泊まりたい」「おたくに訪問したい」と言わせる努力も必要です。

    当然、USJも相当な戦略と投資の成果で今の繁盛ぶりがあるのであり、何も「魔法」を使ったわけではありません。「来てください」という営業ではなく、「ぜひ行かせてください」と言わせる営業施策も突き詰めて考え、実行していかなければなりません。

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