• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2021年07月12日

    2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例

    ワクチン接種は始まりましたが、Go Toリスタート時期は未定で、まだ先の見えない状況が続いています。ただ、「この時期だから、何をしてもお客様は動かない」ということはありません。

     

    5月12日には「信州の宿 県民応援前売割」(https://tabi-susume.com/advance/)という企画が長野県でスタートしました。

     

    事業内容は①宿泊旅行で使えるプレミアム付き前売券5千円分を2千円で販売②前売券の利用者には、「観光施設で使える観光クーポン2千円分をセットで提供する」――というものです。

     

    販売期間は、2021年5月12日から31日まで。利用対象期間は、6月1日のチェックインから、22年1月1日チェックアウトまで(予定)。販売額は、1事業者あたり200枚(販売額40万円、額面100万円)でした。

     

    お客様は、事前に事業者からクーポンを購入する必要がありますが、最大40万円という金額は、事業者のキャッシュフローを少しでも良くしようという狙いもあったようです。

     

    このクーポンを軸に、上諏訪温泉のホテル鷺乃湯では、長野県民限定の「ホテル鷺乃湯に実質4千円+入湯税~で宿泊できるプラン」を発売しました。

     

    料金は、平日(1人)1万4千円+150円(入湯税)が、長野県民であれば、「信州の宿 県民応援前売割」が適用されて1人4千円で1万円の宿泊券+「すわ泊お宿割」で1人2千円(税込)割引+観光クーポン1人2千円(税込)が付いて、実質1万4千円がもらえます。

     

    宿泊料金が1万4千円ですので、大人1人で実質4千円+入湯税150円で宿泊可能(ただし、信州の宿 県民応援前売割は事前申し込みが必要)となります。

     

    観光クーポンは、宿泊費には転用できませんが、館内飲食や土産物店、長野県内登録飲食店などでは利用できます。表示の料金は割引前の料金で、長野県限定での予約後、同館から「信州の宿 県民応援前売割」の案内をします。

     

    この「信州の宿 県民応援前売割」購入時には、宿泊者全員の身分証明書(運転免許証や保険証など)が必要となります。支払いは、当日の現地精算のみとなります。

     

    プランを造成して、フェイスブックの告知だけを行ったところ、販売初日で指定枚数を売り切ってしまいました。

     

    企画する前は、「この状況なので反応が薄いのでは」との心配もありましたが、「蓋を開けたら大成功」という、うれしい誤算となりました。

     

    行政支援のもと、その支援内容を適切にプランに反映することで、この新型コロナ感染状況下でも「宿泊旅行に行くお客様が一定数以上いる」と分かったことも、大きな励みとなりました。

     

    国の「今が一番大事な時期」という話を聞いていても、宿泊事業者は救われません。長野県のような事例が、全国に広がることを願っております。

    バックナンバー
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  • Vol.63 2021年7月11日号 行政の宿泊補助事業を活用した事例
  • Vol.62 2021年5月11・21日合併号 コロナ禍におけるアニバーサリー需要
  • Vol.61 2021年3月11日 前向きなビジネスホテルの事例に学ぶ
  • Vol.60 2021年1月11・21日 経済活動にブレーキが掛かる前提での経営
  • Vol.59 2020年11月11日 地域共通クーポン狂騒曲
  • Vol.58 2020年9月11日  Go Toトラベルを前向きにとらえよう
  • Vol.57 2020年7月11日 現実的な新型コロナ対策ステージへの移行
  • Vol.56 2020年5月11・21日 マイカー旅行プラン
  • Vol.55 2020年3月11日 東京五輪対策プラン
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  • Vol.52 2019年9月11日 広告の注意点
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  • Vol.50 2019年5月11日 外国人観光客に対するマナー啓発
  • Vol.49 2019年3月11日 見直そう、親子旅マーケット
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  • Vol.46 2018年9月11日 地域の現状のツタエカタ
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  • Vol.44 2018年4月11日 タブレット対応HPは必須か?
  • Vol.43 2018年3月11日 少ない時間働く文化を作る
  • Vol.42 2018年1月11日 タリフの更新作業の生産性検証
  • Vol.41 2017年11月11日 予約確認電話の必要性
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  • Vol.37 2017年3月11日 キャンセルポリシーの見直し
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  • Vol.01 2012年10月21日 誰もが喜ぶ企画力を