• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2013年4月11日 赤ちゃん連れ旅行に着目

    最近のママドル(ママのアイドルの略)ブームではありませんが、子供を産んでも積極的に社会に出て行こう、という流れがあります。街中を歩いてもベビーカーを押しながらショッピングを楽しむ子供連れ家族を多く見るようになりました。

    レストランでも「お子様対応」に注力している店は、子供専用料理のバリエーションを広げたり、お子様椅子を用意するなど、子供連れのファミリー層をうまく取り込んで繁盛させています。

    旅行もかつては「赤ちゃんの首がきちんと座る前まではもってのほか」という風潮があったようですが、最近は「そんなに小さな子供を旅に連れて大丈夫」かと、こちらが心配になるほど、小さなお子様連れの家族を全国各地でみかけます。

    そんなニーズをうまく取り込もうと、長崎県雲仙温泉の「東園」では「3歳児まで無料、赤ちゃん温泉デビュープラン」という企画を造成しました。通常の宿泊では3歳以下のお子様について1500円の入館料が必要なのですが、このプランでは無料にしました。さらに、お部屋食の確約と特典がついています。また、赤ちゃん連れ旅行に便利な「赤ちゃんグッズ」の貸し出しもしています。内容は、①部屋にオムツ専用のゴミ箱用意②子供用の浴衣③子供椅子貸し出し④子供用食器貸し出し⑤子供用ハブラシセット⑥子供用スリッパ⑦冷却用シート⑧爪きり⑨加湿器⑩子供用布団――と幅広くそろえています。

    赤ちゃんプランの企画を検討する時には、「うちの旅館は宿泊料金も雲仙の他の旅館に比べ安くないですし、比較的年配の方にご利用されているので、赤ちゃんプランを作ってもヒットしないのでは」という社内の声もありました。ただ、「新しいお客様層を積極的に開拓しよう」ということと、「どんなお客様層がお越しになられても、東園はキチンとしたおもてなしができる自信がある」ということで、プラン販売をスタートしました。

    販売を始めると反響の大きさは予想以上でした。赤ちゃん連れのお客様が多く訪れ、想定していた組数以上のお客様に、一時は子供用布団が足りなくなる、という状況になり、まさに嬉しい悲鳴をあげることになりました。実際にお泊りになったお客様からも「こんなプランを探していたんですよ」「しっかりとした赤ちゃんプランを作っておられるので、安心して旅館に来ることができました」など、大変感謝された声をいただきました。

    お客様にとっては、自分の子供との温泉デビュー旅となり、人生のなかでの想い出に残る旅となるでしょうし、子供が大きくなった時に「あなたが赤ちゃんの時に、東園という旅館に行ってね」なんていう想い出話もできると思います。

    旅館業は、お客様からお金をいただきご宿泊いただいたうえ、感謝もされるという素晴らしい商売です。赤ちゃん向けプランはそんな旅館業の本質を体現したプランの一つではないでしょうか?

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