• 連載コラム 繁盛旅館への道~売れる商品企画の作り方~
    Column
  • 2019年11月05日

    2014年2月11日 風習を企画に

    先日、私の高校時代の友人が結婚しました。結婚式に参列したほかの友人と「高校時代の友人で結婚しているのは少ないよね」という話になりましたが、結婚している人が少ないということは、私と同年代の子供がいる友人はもっと少ないわけです。

    統計的には2013年版少子化社会対策白書によると、11年の出生数は105万806人。第2次ベビーブームと言われた71―74年の間の最高の出生数が209万1983人なので、この30年の間に約半分に減ったということです。 つまり、このままの推移でいくと日本の人口は減るばかりというのは明らか。そうならないよう、さまざまな施策が取られていますが、現状を見る限りでは画期的な対応策は取られていないように思えます。

    そんななか、以前もこのコラムで「赤ちゃんプランが人気」という内容を書きましたが、そういった現象の要因の一つとして、少子化が挙げられます。親世代の人口よりも、子供や孫の人口が少なくなっている現状では、投下できる資金や時間が昔より多くなってきています。生まれてくる子供の数自体が少ないのですから、その子供をより一層大事にしようという心理が働くのです。

    新潟県の「著莪の里ゆめや」では、お食い初めプラン「百日祝い(ももかいわい)」というプランが人気です。プラン説明には、お食い初めの由来「お食い初めの正式な料理のお膳は一汁三菜です。お赤飯、尾頭付きの鯛、鯛か鯉のすまし汁、煮物、香の物です。香の物には梅干しと小石が添えられました。石は歯固めの石、梅干しはシワがいっぱいになるまで長生きすることを願っての意味が込められています」という紹介を記載していただきました。また、特典としてお食い初めの料理(お子様のお料理)をゆめやよりプレゼントすることを明記しています。

    発売開始以降、多くの反響を得ているプランですが、2、3家族そろって利用されるケースが多いようです。子供を大切に育てようとする親こそ、こういった日本古来からの伝統行事を大切にする風潮もあり、おもに新潟県内のお客様から問い合わせを多くいただくそうです。さらに、旅館の近くに弥彦神社があるので、お宮参りプラン「うぶすな」というプランも造成し、こちらも人気を得ています。

    旅館に限らず、料亭や比較的高単価の飲食店などでも「お食い初め」の企画を見ることがありますが、「当館でできること」がきっちりと明示されているケースとそうでないケースがあります。大切なことは「お客様からお食い初めできますか?」と言われて「できますよ」と応えることではなく「当館ではこのようなお食い初めができます」と先に明示しておくことです。

    お食い初めなどでのご利用は通常の企画よりも「手間」がかかることは間違いないですが、その「手間」が「おもてなし」となりお客様の心に残るのです。

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